「ダウ平均株価」は株のニュースでも頻出する重要な用語です。
ダウ平均株価は米国の株価水準を表すものであり、日本の「日経平均株価」のような役割を果たしています。
「米国の株価水準が日本に関係あるの?」と思われるかもしれません。
実は、日本の株価もダウ平均株価に大きく影響されているのです。
この記事では、ダウ平均株価とはどんな経済指標なのか?
また日本に与える影響や算出方法について、わかりやすく解説していきます。
ダウ平均株価とは
ダウ平均株価とは、「ニューヨーク・ダウ」とも呼ばれ、米国の株価水準を表す経済指標の1つです。
米国の株式市場は非常に大きく、数多くの銘柄が上場しています。
ダウ平均株価はその中から米国の超優良企業である30銘柄を採用し、株価の平均を算出しています。
30銘柄は毎年選出されるのですが、これまでに一度も選出から外れたことのない企業はたったの1企業のみ。
とても、厳しい基準で構成されている指標なのです。
企業銘柄を選出するのは「ダウ・ジョーンズ社」と「ウォールストリートジャーナル社」です。
ダウ平均株価の「ダウ」はダウ・ジョーンズ社からきています。
ダウ平均株価は、日経平均株価と同じく株価の平均値になっています。
そのため、30銘柄の株価を合計し、除数で割って平均値を算出します。
ダウ平均株価と日経平均株価は似た経済指標ですが、日経平均株価は「東証1部」のみから銘柄を選出しています。
それに対して、ダウ平均株価を構成する銘柄は、もっとも大きな「ニューヨーク証券取引所」からだけではありません。
新興市場である「NASDAQ」からも選出されているのが特徴です。
構成される銘柄は少ないですが、選出先の市場を増やすことで、より正確に米国の経済を捉えようという試みがなされているのです。
ダウ平均株価には3つの種類がある
実は、日本でよく聞くダウ平均株価は「ダウ工業株30種平均」と呼ばれるものです。
ダウ平均株価といったら、ダウ工業株30種平均のことを指していると見ていいでしょう。
ダウ平均株価にはその他にも「ダウ輸送株20種平均」「ダウ公共株15種平均」などがあります。
ダウ工業株30種平均は輸送と公共事業以外のすべての業種から選出されます。
名を連ねる企業は
- ボーイング
- ウォルト・ディズニー・カンパニー
- インテル
- コカ・コーラなど
世界展開している優良企業であり、米国をリードする存在といえるでしょう。
ダウ輸送株20種平均は「ダウ・ジョーンズ輸送株平均」とも呼ばれ、鉄道、航空、トラック、物流などの業種から算出されています。
ダウ公共株15種平均は「ダウ公共株」あるいは「ダウ公益株15種平均」とも呼ばれ、電気やガスなどのインフラ系の業種15銘柄から成ります。
工業株平均、輸送株平均、公共株平均、すべてを合わせた「ダウ65種平均」という指標も存在します。
ダウ平均株価は「S&P500」「NASDAQ」と何が違う?
日本ではダウ平均株価がもっぱら重視されていますが、米国株式市場にはその他にも「S&P500」や「NASDAQ」といった株式指標が存在します。
どちらも重要な経済指標であり、米国での株式投資に興味を持っている方にとっては必ず覚えておくべき指標だといえます。
以下に3つの特徴をまとめます。
ダウ平均株価 | S&P500 | NASDAQ | |
銘柄数 | 30 | 500 | 約2900(NASDAQ全銘柄) |
選出先の市場 | NY証券取引所、NASDAQ | NY証券取引所、NYSE MKT、NASDAQ | NASDAQ |
指数の算出 方法 |
単純平均株価指数 | 時価総額加重平均型株価指数 | 時価総額加重平均型株価指数 |
ダウ平均株価の銘柄数は30と少ないのに対し、S&Pはニューヨーク証券取引所の各市場から500と幅広く算出しています。
一方、NASDAQは新興市場であるNASDAQの株価指数を表すため、2900と非常に多くなっています。
選出先の市場としては、S&P500がもっとも分野の偏りが少ないです。
NASDAQは、銘柄数は多いものの、IT系の多いNASDAQ限定となっています。
もっとも大きな違いは「株価指数の算出方法」です。
ダウ平均株価が株価の平均値を算出するのに対し、S&P500とNASDAQは時価総額の平均値で株価指数を算出します。
そのため、ダウ平均株価とそれ以外の指数ではもとにしているデータがまったく異なります。
米国株式市場に詳しい人は、30銘柄と採用銘柄が少ないダウ平均株価より、市場全体から偏りなく銘柄を選出しているS&P500の方を好む人も多いようです。
ちなみに、NASDAQは新興市場といわれますが、新興企業が上場し、成長して大企業になった後もNASDAQに残ります。
そのため、私たちもよく知っている
- アップル
- マイクロソフト
- アマゾン
などなど、大企業が名を連ねています。
また、三菱電機など、日本の企業も上場しています。
日本の東証JASDAQはこのNASDAQから生まれています。
ダウ平均株価は日本の株式市場にも影響を与える
ダウ平均株価に選出されているのは、どこも世界進出しているグローバル企業です。
たとえば、2019年の採用銘柄は以下の通りです。
- アメリカン・エキスプレス
- マイクロソフト
- ボーイング
- アイビーエム
- マクドナルド
- ナイキ
これらの企業は、全世界に多くの従業員や支社を持ち、各国の景気を動かす力のある企業です。
そのため、ダウ平均株価は米国の経済だけでなく、世界を代表する経済指標といえます。
日本を代表する経済指標の日経平均株価は、ダウ平均株価の値動きによって大きく左右されます。
ニューヨーク証券取引所は米国の現地時間で9:30~16:00の間に取引されます。
これは日本時間では23:30~6:00にあたります。
日本での株式取引の開始時間は朝9:00。
ダウ平均株価を世界的な指標として捉える投資家たちは、ニューヨーク市場の値動きや終値を見てその日の投資方針を決めます。
そのため、朝9:00の日経平均の寄り付きは、ダウ平均株価に大きく影響されるのです。
ダウ平均株価の算出方法
ダウ平均株価は以下の方法で算出できます。
ダウ平均株価=構成銘柄の合計株価 ÷ 除数
構成銘柄の合計株価を単純に30で割ると、構成銘柄の入れ替えや株式分割があった際に、業績に関係なく大きく数値が動いてしまいます。
そのため、除数の部分を調整し、指標が連続性を保てるようにしています。
日経平均株価も同様に除数を使用して算出しています。
まとめ
以上、ダウ平均株価について解説しました。
米国株式市場に興味がある人は、ダウ平均株価の他にもS&P500、及びNASDAQの指標もチェックするべきでしょう。
逆に、国内株式だけやっている人にとっても、ダウ平均株価は大きな影響力があります。
今後ニュースで聞くことがあれば、ダウ平均株価が国内株式にどのような影響を与えているのかに注目してみましょう。
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